けれど勝手に巻き込まれたわたしは、たまったもんじゃない。
「ちょっと、みんなに変なこと言わないでよ……!」
小声で反論すると、皇くんは悪魔のように目を光らせにやっと笑ってくる。
「こうすれば逃げらんねぇだろ」
「なっ!」
まさかの外堀から埋めてくる気……!? 計算なのか突発的なのか分からないけれど、追い込まれていることはたしかだ。
当の本人は満足したのか、腕を掴んできた。
「ほら、早く行こうぜ、桃」
「待ってってば、皇くん……!」
強引に腕を引かれるまま、ふたつ分のスクールバックを肩に掛けた皇くんを追いかける。
ああ、もう最悪だ。
無力なわたしは引っ張られるまま、変な誤解がされていませんようにとそれだけを祈った。