けれどわたしはそれどころじゃない。いったいなにがどうしてこの状況になったのか理解できない。それにわたしの体は、だれがなんと言おうと先生のものだ。 「ちょっと、離して!」 「あ”? ごちゃごちゃうるせぇ」 「わたし、やるなんて一度も……!」 「これは決定事項だ。お前は、」 「――皇」 突然、矢のように通る声が、わたしたちのやりとりを遮った。 はっとして声がした方に視線を向ければ、先生が冷ややかな目で皇くんを見据えていた。 「森下の意見も聞かずに勝手に決めるんじゃない」 「先生……」