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6月も中盤に差し掛かり、夏を目前に控えた頃。
「今日のHRは、来月に迫った体育祭について話し合いをするぞー」
教壇に立った先生の号令に、教室がどっと湧いた。もちろんそれはわたしも例外ではなく。
体育祭と言えば、数ある行事を代表する一大イベント。それに加えてこういった校内行事が新学期始まって以来ということもあり、一気に教室の体感温度が上がる。
「絶対優勝して、クラスでさきちゃんを表彰台に立たせてやろうぜ」
「うわ、なにそれめっちゃモチベあがるやつ! スピーチするさきちゃん、めっちゃ見たい!」
いろいろなところから聞こえてくる声に、思わず胸が高鳴ってしまう。
学年ごとに優勝したクラスの担任の先生は、体育祭の最後に全校生徒の前でスピーチをするというのが毎年の恒例になっていた。いつもは怖い先生が、そういう時には珍しくふざけたりして、それがとても盛り上がったものだ。
でもまさか10年後にもこうして続いていたとは。
お茶目なスピーチをする先生……たしかにそれは見たすぎる。