【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい


 頭上から降ってきたその声に背筋が凍りつく。だって、いじめの主犯格である臼井の声だったからだ。

「自殺未遂って。悲劇のヒロインかなんか? まじうけるんだけど」

 臼井の声に、賛同するようにくすくす笑う声が鼓膜を攻撃してくる。

 怖い。逃げ出したい。
 けれど逃げたくない。

 わたしは大きく息を吸い、乱れた心音を整えると、強い瞳で臼井を見返した。

「……もう負けない」

 いつだって大きく見えていた臼井が、今ならわたしと同じ大きさに見える。

 すると、臼井の瞳の中に怒りが灯ったのがわかった。

「あんた、生意気なのよ……っ」

 そして臼井が右手を振り上げる。反射的に目をぎゅっと瞑った、その時。