眩しい光が突き刺す矢にように、瞼を刺激している。

 暗闇に差し込んだ一筋の光に手を伸ばすようにゆっくりと目を開ければ、トラバーチン模様の白い天井が目に飛び込んできた。
 ここが病院であるということを理解するのに、ほんの少しの時間を要した。わたしはどうやら、病院のベッドに横になっているようだった。川に飛び込んで、病院に運ばれたのだろう。

 わたし、戻ってきたの……?

 思考に靄がかかり、見慣れない景色をぼんやり視界に映していた、その時。

「……梅子……」

 信じられない、そして感極まった、そんな感情がごちゃまぜになった声が聞こえてきて、わたしはさざ波が立つように胸が震えるのを感じた。間違えるはずがない。この声は――。

「あ、ああ、あ、綾木くん……」

 声がした方を見れば、ベッドの横に座る彼がいた。10年後の大人の彼ではない。わたしが置き去りにしてしまった、高校生の綾木くんが。