「先生、大丈夫ですか……?」
ベッドに寝かせた先生にそっと問いかけるも、荒い呼吸を繰り返すだけで応答はない。
先生の額は熱く、熱を出してしまったようだった。林間学校の時具合が悪そうだったし、雨に濡れて風邪をこじらせてしまったのかもしれない。相当苦しそうだから、ずっと我慢していたのだろう。
「先生、わたしがついてますから……」
ベッドの横に膝をついて先生に声をかける。
こんなにつらそうにしている先生を前にして、なにもできない自分がもどかしい。
その時。先生が苦しそうに顔を歪めながら、ベッドの脇に膝をたてて座るわたしの手を掴んできた。そして。
「梅子……行くな……」
消え入りそうな声が、あの名を呼んだ。