【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい


 生まれ変わって、綾木くんの心に刻みつけてしまった傷の大きさを知った。先生の傷を見過ごすなんてことしたくない。

 雨に濡れるのも構わず肩で息を切らしながらにらみ合い、先に目を伏せたのは皇くんだった。

「……わかった」
「皇くん……」
「その代わりカッパを着ていけ。あと、なにかあったら俺を呼ぶこと。わかったか?」
「ありがとう」

 先生も皇くんも、わたしのことを心配してちゃんと叱ってくれる。その優しさは当たり前じゃないということがわかるからこそ、雨で冷えた体とは裏腹に胸の奥がこんなにもじんわり熱い。

 皇くんに渡されたビニールのカッパを着て、わたしは先生を捜しに駆けだした。