綾木side
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『愛だの運命だの、くそだ』

 愛していたと思っていた人から捨てられた中2の夜。俺は夜空に向かってそうつぶやいた。


 厳格な家庭で育ち、幼少期からろくな愛情を受けてこなかった俺は、その反動で見事にグレた。愛されたくて、けどそんな弱さを見せる勇気もなくて、いろいろな女と本気にならないように遊んできた。
 そして中2の時、俺は付き合っていた副担任に捨てられた。

『愛してる。私たちは運命で結ばれているのよ』

 そう俺に語っていたのに、ゴミを捨てるよりもあっさり残酷に。

 今になって思えば彼女に抱いていたのは恋愛感情なんかではなく、受けることのなかった母性だったのだと思う。だけどそんなことにも気づかないほど幼かった俺は、心を許していた大人に裏切られた怒りと虚無感で、さらにまわりに壁を作るようになった。
 大人に反抗するように、仲間たちといくつもの悪いことを重ねた。そうやって、自分がこの社会に存在していることを実感していたかった。