「先生」

 あたりが痛いほどの静寂だからか、自分が発した声は反響して聞こえた。

「……どうしてこんなことしたんですか」

 打ち上げも抜け出して、駆けつけてくれたのはなんでですか。
 緊張を振り切るように続けて問いかければ、先生がそこで足を止めた。
 肩越しにこちらを振り返った先生は、その目に見つめられ虜にならない女子なんてきっといない、そう思えてしまうほど綺麗な瞳にわたしを閉じ込める。

 そして綺麗な唇がゆっくり動くのを、わたしは視線を奪われたまま見つめていた。

「嫌だったからだよ、俺が」