いつか、ママが言った。

「本当に大切に思ってる人のミガワリになれることがあるの。」

あたしの頬を撫でる手は冷たくて。

あたしはグッと涙が零れるのをこらえた。

なぜか、鼻がツンとして泣きそうになってしまう。

「ママはね、パパのミガワリになれたことを誇りに思うの。」

あたしの隣でパパは笑った。

その横顔がビックリするくらい寂しげで、あたしは思わず涙を零してしまったの。

「友愛には、幸せになってほしい。私の分までね。」

その意味を、まだ小学二年生だったあたしには理解できなくて。

「ママの子供だもん、大丈夫だよっ!」

あたしは笑ってこたえた。

ママは安心したように笑う。

あぁ・・・。

真っ白なベッドが似合う。

なんて、呑気なことを考えてた。

『ピッ ピッ 』

どこからかきこえる電子音は、だんだん弱くなっていく。

『ピー・・・』

音が止んだ機械を不思議そうに見つめるあたしに、白い白衣を着たおじさんは言った。

「・・・永眠です。」

隣で、うすピンク色の服を着た若いお姉さんが泣き始める。

この人は、ママの親友だっけ。

パパまで、ママのベッドに顔をうずめちゃって。




みんな、なにしてるの?

ママが寝たんだから、静かにしなくちゃ起きちゃうよ?




・・・あたしは綺麗なママの顔を見つめていた。