桃ちゃんの結婚式や、同級生の結婚式に参加すると、真っ白なドレスを着たくなる。一生に一度の大切なイベントにしか着れないドレスだ。

「私の方からプロポーズした方がいいのかな?」

「う〜ん……。でも、女としてアレッサンドロさんから言ってほしくない?「結婚してください」って言葉はさ」

「うん、言ってほしい。でもまだアレッサンドロさんの中では結婚のタイミングじゃないのかな」

「なんかもどかしいよね」

桃ちゃんと話しても、モヤモヤした気持ちはなかなか消えない。

もちろん、今のままが幸せじゃないわけじゃない。アレッサンドロさんは優しいし、キスもハグもそれ以上のことだって二人で暮らす部屋の中であふれている。こんな私を、愛してくれている。

結婚や出産が女性の人生の全てじゃない。ヨーロッパの人はそれをよく知っているから、お付き合いの期間が長いのかもしれない。

「桜ちゃん、正直に言ってみて」

桃ちゃんが、真剣な目で私を見つめる。