「桜さ〜ん!この前、アレッサンドロさんとデートしてるとこ見かけましたよ〜。写真で見るよりイケメンですね」

瑠奈ちゃんの言葉に、私は「ありがと……」と苦笑する。次に出て来る言葉を知っているから。

「アレッサンドロさん、おしゃれでイケメンで本当に運命を感じます。譲ってくださいよ〜」

「ごめん、私はアレッサンドロさんのことは譲れないよ」

瑠奈ちゃんが来てから、何回こんなやり取りをしたんだろう。数え切れないくらい瑠奈ちゃんは「アレッサンドロさんと付き合いたい!」と言ってくる。

「もう〜!!いい加減諦めてくださいよ〜!!」

「私、本当にアレッサンドロさんが好きなの」

アレッサンドロさんが私に恋をしてくれる限り、私は誰かに譲ったりなんかしない。例え誰かを傷つけても、この恋を守りたいんだ。

「……っていうか、アンタ鏡見たことあんの?」

瑠奈ちゃんが苛立ちを見せ、私に近づく。私が後ずさると、淡いピンクのトップスの胸元を掴む。