わたしはタジタジしながら、
彼の行ってしまった部屋へと歩く。



......痛っ。


昨日、裸足で街中歩いたせいで
足の裏が切れて歩くだけでピリピリする。



あっ......左手......


血だらけだった左手は
丁寧に包帯が巻かれてあって
何をしなければ痛みも全然感じないほどだ。



これも彼がーーーーー。



どう感謝をしたらいいのか......な......




「あ、あのっ......おはようございますっ......」

「......っ!」



彼は、ちょっとわたしを見て
一瞬後ろに振り返ってしまう。



「......えっ......と......」


「ごめんごめん.....っ
おはよう、とりあえずそこ座って」



わたしは、広くて真っ白な綺麗な部屋に
置かれたそれも真っ白なダイニングの
椅子にちょこんと座る。




それから、カチャン、カチャンと
次々とどれも美味しそうな朝ごはんが置かれる。




「一緒に暖かいうちに食べよっか」


「......っわたしこんな......っ!」



思わず、こんなただの他人のわたしに対する
優しさが申し訳なくて、勢いよく立ち上がる。



「冷めちゃうから、ね?」



彼は私の右手をとって、そっと椅子に座らせる。




「はい。いただきます。」

彼はそう言って美味しそうなパンを頬張る。



「......いただきますっ」

わたしも、申し訳ない気持ちをいっぱいに
その食事を手に取る。




......っ、




お......いし......いっ



......おい...し......いよ



わたしは美味しい食事を手に取りながら、
その何気ない幸せに涙が零れる。


最近の私の食事は、味が無くて、
何を口に入れてもなんにも食べた気がしなくて
何もかも喉を通らなくなっていた。



前を見れば、そんなわたしを見て微笑む彼がいて、



あぁ、わたしもう最後だから、
神様が一日だけでも幸せくれたのかな、?


ありがとう、神様っ......



私の涙は止まらなくてずっと泣きながら
美味しいご飯を食べた。