君に恋するのは危なすぎる


10時40分、

やば......あと10分で予鈴なっちゃう、



私は少し急ぎ足で教室へと向かった。





ガラガラ........


教室のドアを開けて、
いつもより少し騒がしいクラスの中に
1人でそっと入っていく。


でも、こんな傷だらけで
手に包帯を巻いた私を見て

クラスメイトからの
「えっ!どうしたの、!詩乃さん!」
と言う声が聞こえる。



お願いだからほっといて........

なんて思ってしまう。



私は静かに1人でーーーー........




「おはよう、詩乃」

「.........」



席に着くと、
私の前の席にガタンと座った男。



長谷川 一希 (はせがわ いつき)だ。



「その手、どうしたの」



一希は私の手に触れようとする。




「......さ....触らないで!!!」



反射的に出た手と、声が教室に響き渡る。


........っ!


一希は私の態度に少しも驚きはせず、
ただただ悲しそうに私を見る。




「.........ごめん、詩乃。
なにかあったらいつでも頼って」



一希はそれだけ言うと、
私の席から離れて自然と
いつものグループの元へと紛れていった。





「流石に、詩乃さんでも
一希くんにあの態度はなくない?」

「男嫌いでもあれは良くないよね~
せっかく一希くんが心配してくれたのに」




そんな声が私の耳もとへ響く。


........ごもっともだ。




一希はただ私を心配してーーー...........

そんなの分かってる、分かってるのに、

やっぱり私はーー





……キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り響く。






……恭也くん



私が恭也くんに触れられても
大丈夫なのはどうして……?