「〈トリオン〉がおきたのは良いことだが何かおかしい。」
《イリーべ》に着いたヒスイはまだ消えない〈リーネの柱〉を調べるために巨大な木に抱かれるようにある町『キャウト』に来ていた。
ここの長であるスィランは強いエナジーだまりに最近、悩まされている。
「ヒスイさまはどう思いますか?」
滝の流れの中にある岩に巨大な白い虎に鬣と角をつけたような生き物が数匹横たわる姿がある。
「バルス達の巨大化はエナジーのせいだろう。これだけのオスのみが死ぬのはおかしい。」
バルスはネオスのみに生息する聖獣で大地のエナジーを吸い生きる。
『キャウト』の住民はバルスと共に生きている
一家系に一匹のバルスが守りとしてついていて、聖獣と深い関わりがある
バルスが倒れ一族の者が病にかかるケースが増えているという
「メスは子供をたくさん産むようになりましたが異種がでていると。」
岩に手をかざすと今度は金色の洞穴に寝転ぶ子猫が映される
バルスの子供達だ、全身が黒や一部を残して黒
「あまりいいとはいえないな。この子達はマーシャンにひきとろう。」
黒色の毛を持つ者は魔獣か魔獣との混血、それが『ネオス王国』の生き物の当たり前の姿だ
だからといってバルスは特殊な聖獣なので殺すわけにもいかない
「例の暗黒の正体はわかりましたか?」
「あれは形をもたない闇の者のようだ。私は封じ込めようとしたのだが消えてしまった。」
〈トリオン〉がおこる前に〈リーネの柱〉をよこぎり二つに裂いた者があった
それは《イリーべ》の後ろにそびえるアイネ山脈に消えた
城の賢人達が調べにいっているようだがアイネ山脈に囲まれる谷は謎が多く探索にでた城の魔法使いは苦戦しているようだ。
「カミュール様にあった後に私も[ダイネの谷]に行ってみる。もし私が戻らなければカルメンにこれを渡してくれないか?」
金色の箱に小さなグラスが付いたペンダントは守人だけが持つ物だ。
「置いていったらヒスイ様がいざと言うときに使えません。」
「私には必要ない。父がながくエナジーの守を務めているから紋様の強化は出来ているからね。」
スィランが止めるのもきかず、ヒスイはペンダントを置いていった。