あの丘の向こうで

また憂鬱な日が始まった。いつものように朝食は抜き、ギリギリまで布団にくるまり母の怒鳴り声で起き上がる。

(今日は、葉介より早くいきたいな‥‥。あの丘に。)

なんてことを思っていると時計の針は8:00を指す

(ヤバ‥‥まぁ、いっか。)

と思いつつのんびりと遅刻する気満々で学校へ向かった。

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今日は早くいきたい。そんなことを朝思ったからなのか、(ただ単に自分が忘れていただけだったが)テスト前の勉強習慣で学校は半日だった。

(今日は話してみよう。引くかな…。そしたら丘にいかなければいいか。)

いつもどおり学校の目の前の大通りを抜けて少し急な坂を上がり2つの分かれ道の右を行きまた少し坂を上る。
昼間だから誰もいない と気を抜いた私は鼻歌を歌っていた。

「素敵な声じゃん。しかもめっちゃ歌うまいじゃん。歌手??」

「うわぁぁぁ!!!!な、なんでいるの‥‥‥???」

そこには私服姿の葉介がいた。

「うわぁ、話してくれた。やっとだ!うれし…! なんでかって?学校じゃないからだよ。当たり前じゃん」

「‥‥‥。」

「いや、黙らないで??もう声聞いちゃったもーん。君こそなんで来たの?こんな時間に。さぼり?」

首を横に振るだけふって本を取り出そうとする。しかしいつもの本が見当たらない。
家に置いてきてしまったのだ。

(なんでこんな時に限って‥‥。雪乃しっかりしなさいよ!)

「きみ、名前は?昨日も聞いたけど‥‥あんまり君って呼びたくないからさ?」

「‥‥‥‥‥‥‥きの。」

「え??」

「…ゆきの!」

「ゆきの!!素敵な名前。ぴったりだね。よろしく雪乃。」