……とは言え外は雨。家は入院した次の日に電気や水道を止めたから帰れるはずもなく立ち止まる。 「……結衣?」 名前を呼ばれて振り向くとそこには乃亜の姿。 『乃亜……』 顔に伝う水は雨なのか涙なのか。 「えっ!ちょ、どうしたの…』 抱き向いて肩を震わす私をみて一瞬だけ戸惑った表情をみせる乃亜。 「とりあえず濡れてるし私の家に行こう。チロルも久しぶりに結衣に会いたいだろうし」 チロル……その言葉を聞いて私は乃亜の家へ向かった。