「な…何で…」
「別にしたくねぇし。」
あたしは目が熱くなっていくのが分かった。
その熱いものは抑えきれずに、頬を伝って床へ落ちる。
「!?杏!?」
急に泣き出したあたしに驚くカオル。
「カオルの…バカ!!出てって!!」
あたしはソファからカオルを立たせて、ぐいぐいと背中を押して、玄関まで押しやった。
「おい!!ちょっ…杏!?」
「出てって!!」
バタン!!
あたしは玄関のドアを凄い勢いで閉めて、カオルを追い出した。
「杏!開けろって!俺、靴履いてねぇよ!!」
ドアの向こうから聞こえる声も全部無視した。
カオルは…カオルは…
本当はあたしのことなんて好きじゃないんだ…

