「私も、お二人の食事の支度をしないと思うと気持ちが落ち着きませんでした」

やっぱり、私にはこの場所が一番似合っている。ホームズさんとワトソン先生を見つめ、微笑んだ。

ホームズさんの推理を聞いて、ワトソン先生と仕事をする。二人の食事を作って、一緒に食べる。その生活が私は大好き。

「そうだ。和香が帰ってきたらしようと思っていたんだ」

ホームズさんが自室に入って行く。しばらくすると、立派なヴァイオリンを持ってやって来た。

「えっ?弾けるんですか?」

ヴァイオリンが難しい楽器だということは、あの学園の授業で痛いほどわかった。あと、下手な演奏を二人に聞かれたことが恥ずかしい……。

「ヴァイオリンは心を落ち着けたい時に弾くんだ」

そう言い、ホームズさんはヴァイオリンを弾き始める。美しい音色が部屋に響き、私とワトソン先生は椅子に座って演奏を聴いた。

ホームズさんは難しい曲も事件を解くようにあっさり弾き、何度拍手を送っても足りないくらい。