医者のワトソン先生、そして看護師の私はヴァイオレットさんを縛っている縄を外し、怪我の様子などを見る。

「……み、水……を……」

途切れ途切れの小さな言葉が聞こえ、私はペットボトルの水を差し出す。ヴァイオレットは少しずつ飲んでいった。縄で縛られていたため、手首などが赤くなっているが、それ以外に怪我はなさそうだ。

「人は隠し事をしたい時、誰にも見つかってほしくない時、どんな手を使ってでも守り通そうとします。あなたが隠したかったのは、この部屋に隠したセーラ・カッシングさんの遺体ですよね?」

ホームズさんがそう言うと、メアリ先生は床に崩れ落ちる。レストレード警部が「署でお話を」と言い連行していった。

ヴァイオレットさんは、学校の近くの病院で詳しい検査をすることになり、ワトソン先生がその病院まで送ることになった。

「和香、ゆっくり休んでね」

私の頭を撫で、ワトソン先生はヴァイオレットさんを病院まで連れて行くため車に乗り込む。車が遠ざかっていくのを、私はジッと見ていた。

「お疲れ様、和香」

ホームズさんが隣に立ち、微笑む。私も「ありがとうございます」と微笑んだ。