『りつき、かぁ。私は爽香。よろしくね、律希。』と僕に言った。
僕はああ、と曖昧な返事をして、爽香の後ろにある海を眺めていた。
『いつから気づいてたのか、という質問にお答えすると、ずばり、本を閉じてカバンにしまったときです。律希はなんでこっちを見てたのかな?もしかして、一目惚れとか?』
彼女は悪戯に笑って言った。
一目惚れか、そうかもしれないと思った。
爽香は見た目にも目を引くものはあったが、何がが他の女子とは違う気がした。
『そっか、そうかもしれない。これが一目惚れか。』
僕が独り言を言うと、それが聞こえていたらしく、自分から一目惚れだの言い出したくせに、爽香は少し顔を赤く染めていた。