叶羽はその腕を見て、ショックに浸る暇もなかった。ジャキッと銃を男性が構える音がしたからだ。その顔はもうゲームを満足したと言いたげなものだ。

「美羽ちゃん……」

叶羽は美羽の手を握る。銃弾は二人の頭か心臓を貫くのだろう。大切な美羽を守れないことに、叶羽は涙をこぼした。その時。

「テメェ、私の妹に何をした!!ぶっ殺す!!」

いつからいたのか、お姉ちゃんが男性に飛びかかっていった。突然の攻撃に男性は驚いて動けない。お姉ちゃんは銃を取り上げ、男性を殴りつける。

叶羽の耳に、パトカーのサイレンが聞こえてきた。お姉ちゃんは男性を取り押さえている。叶羽はフッと笑い、意識を手放した。



叶羽が目を覚した時、そこは病院のベッドの上だった。そして、叶羽の右腕は義手がつけられていた。温かい血は、その機械の腕には通っていない。

「アンタ、大丈夫なの?」

喧嘩ばかりのお姉ちゃんが心配してくれて、叶羽はコクリと頷く。お母さんたちは腕を失ったことにショックを受けているが、叶羽は自然とその腕を受け入れられた。