その日から結衣の管理入院が始まった。
誰も居ない真っ暗な部屋の電気を付けた。
ベランダには干されたままの洗濯物が風に揺れていた。

当たり前だけど、冬の夜風にさらされていた洗濯物は冷たい。ソファの上に放り投げるとなんだか結衣の声が聞こえた気がした。

「えへへへへ…お昼寝して取り込むの忘れちゃった。ごめんねー」

なんて笑って干し直す姿が想像できる。
きっとこの部屋に結衣が帰ってくるのはまだまだ先になるだろう…

結衣の服、読みかけの雑誌、コップ、鞄。
こんな姿を見たら頼りない男と思われるだろうか…だけど今だけは許してほしい。

キミの前では泣かないから。
結衣のいない部屋で静かに涙を零した。