医局に戻ると中岡が待っていた。

「結衣ちゃんは?」
「検査で疲れたんだろ。寝てたよ…え?待って。なんで僕が結衣の所にいたの知ってるの?」

「この時間帯ならナースステーションにいる可能性は低い、心配するような重篤な患者も今はいない。ってことはトイレか結衣ちゃんか。そんな所かな?」
「相変わらず読みが深いな」
「お前の行動は分かりやすすぎ。それよりもさっき電話あったよ、正式に認められて待機リストに載った。これからどうする?」

「…ふっ。黒田教授には感謝しなきゃ」
ため息まじりに笑ってしまった。
「なんで?」
「結衣の事となればダメと思っても甘い判断しか出来ない…医者失格だよ。ホント」

「そう言うと思ったよ。でも今はまだ日常生活に耐えれるレベルだからこのまま退院でもいいと思ってる。
そのかわり通院は月一じゃなくて2週間に一回に変えて毎回エコーは実施する。薬も変える。それでも正直いつまで持つか分からないけど、それでどう?」
「中岡…ありがとう」

中岡の出した条件を了承して結衣は無事に退院した。