少し肌寒くなった10月。
最近僕には気がかりな事があった。
もちろんそれは結衣のこと。

疲れやすくなっていること、化粧をしていても顔色が良くない時があること。
中岡と治療方針について話し合いを進めていたそんな矢先の出来事だった。

「もう少し濃い色の口紅が欲しい」
結衣がそう言ったので休みの日に近所のショッピングモールへ出かけた。
化粧品コーナーでは新商品のピーアールをしていてサンプルを配っていた。

「宜しければお試しになりませんか?」
そう声をかけられ、待っている人数も3人しかいなかったので並ぶことにした。