「…女の子という生き物は理解できない」
「たぶん、男は一生理解できないかもな」

思わず中岡相手に愚痴をこぼしてしまった。
結衣が何に対して怒っているのか皆目見当がつかないまま時間だけが流れ7日目の夜を迎えた。

そろそろ僕から折れた方が良さそうだ。

「結衣、ちょっと座って。話があるんだ」
「…何?」

渋々、僕の前に座った結衣を見つめた。

「知ってると思うんだけど、僕さぁ結衣の事が好きなのね。でもいくら好きでも心の中までは分からない。言いたいことあるなら言ってよ。そうじゃなきゃ、たぶん僕たちずっとこのままだよ」

目を見て言えば、結衣は黙って下を向いてしまった。

「………違うの。何が言いたくて何が不満なのか自分でも分からないの」
「…うん」

「ゆうちゃんが私のこと考えてくれてるのは、ちゃんと分かってる。でもせっかく覚えて楽しくなって来た所だったのに仕事辞めろって言われたのが悔しかった。
自分でもずっとこのまま続けられないのは分かってたのに、先にゆうちゃんに言われたのが悔しかった。
だからゆうちゃんに怒ってるとか不満があるとかじゃないの。ただ、なんか自分がイヤだったの。それで一回ゆうちゃんの事、無視しちゃったら引っ込みつかなくなって、意地張ってた…ホントごめんなさい」