キミの願い

家にいる時は夫婦の時間だから極力、仕事の話はしないようにしていた。
でも何かきっかけがなければ話せないのも事実だった。

お風呂から上がった結衣に話しかけた。
「結衣、ちょっとだけいい?話があるんだ」
「…今日じゃなきゃダメ?」
「なんで?」
「中岡先生から聞いたんでしょ。その事?」
「うん。話っていうか、相談っていうか」

少し機嫌が悪そうな結衣だったけど、一緒にソファに座った。
「…なに?」
「今日の結果、中岡先生から聞いたよ」
「…うん」

「僕はもう結衣の主治医じゃないし、ここは病院でもない。だから病気云々の話はしないよ。これは旦那として言うよ」
「…うん」
「もうそろそろ仕事の事、考えてみない?もう少しセーブするというか…時短勤務にすると言うか。今は平日ずっと働いてるでしょ?だから例えば週3勤務の仕事に変えるとか」

「仕事、辞めろってこと?やっと覚えたのに?」
「時間に融通が効かないなら退職も考えるべきかな」
「なんで?」
「心臓に負担が掛かるからだよ。病気の話はしないって言ったけど、少し話していい?」
「うん…」