仕事が終わり8時ぐらいに帰宅すると、キッチンからは僕の大好きな匂いがフワリとただよってきた。

「いい匂い。美味しいそうなハンバーグだね」
「おかえりなさい」
「ただいま。今日は大丈夫だった?」

スーツを脱ぎ、ネクタイを緩めながら聞くと
「うん大丈夫。意外と早く終わったからびっくりしたけどね」
「貼るだけだからね。明日だってすぐに終わるよ」
「なんとも無いといいんだけど…」

下向き加減で呟いた結衣の頭をワザと力強く撫でた。

「あー。髪の毛ぐちゃぐちゃになる!」
「ぐちゃぐちゃにしたの。いいじゃん、もうどこも行かないんだから」
「そうだけど…」

もう!って言いながらもいつもの笑顔が結衣の顔に戻った。