「…はい。原田です」
「もしもし中岡だけど」
「悪い今、急いでんだ。手短に頼む」
「結衣ちゃん。さっき運ばれてきた」

その言葉に足が止まった…

「結衣が?それで?」
「今は落ち着いてる。来れるか?」
「もう向かってる。10分で着く」
「りょーかい。宜しく」

悪い予感と言うか、胸騒ぎと言うか…嘘だといいなって言うことほど現実には起こる。

ナースステーションには中岡の姿があった。
僕に気付いた看護師が声をかけてくれた。
「原田先生」
その声に中岡がこちらを見て、軽く手をあげた。

「悪いな帰ったばっかりだったのに」
「いや、それは良いけど。結衣は?」
「不整脈から来る呼吸困難」
手渡された結衣の処置記録に目を通した。

「…ひどいな」
「予想以上にな。この前の検診の時はクリアしたのに。結衣ちゃんも21だ。そろそろ次の段階も考えなきゃいけないんじゃないのか?」

「…そうだな…今は?」
「310。会社の人かな?一人一緒にいる」
「そっか。サンキュ」
ナースステーションを出て病室に向かった。
ノックをすると返事が返ってきた。