「な、南陽大学病院です」
「今から南大に向かうんじゃ渋滞もあるし、救急車の方が確実に早い」
誰かの声が聞こえた。

『救急車なんて騒ぎになっちゃう』そう思ったけど否定する気力は残っていなかった。

床に手をついているのに、揺れる視界の気持ち悪さに耐えられなくなっていた。
時々、ギューっと締め付けられるような感覚のする胸を押さえ、荒い呼吸をするのが精一杯だった。

寒い訳じゃないのに鳥肌が立つ、それなのに額には汗をかいている感覚がある。