藤川に差し出された体温計を大人しく受け取った。
熱があるのは分かっているけれど目視すると途端に実感するから測っていなかった。

鳴り終わった体温計を見てやっぱりなとしか思わなかった。
「何度?」
「39.6度」
「はぁ?マジかよ。お前そんなんでよく仕事してたな」
「でももう無理。体温計見ちゃったから」
「ったく。ホラそんなんじゃ診察できない。寝るかきちんと座るかしろ」

あまり働かない頭で考えソファにそのまま倒れこんだ。
「いつから?」
「出勤した時は大丈夫だったんだけどね、徐々に」

普段は診察する側なのに、されるのはなんだか新鮮だ。きっと結衣はいつもこう言う感じなんだろうな…なんて考える。
「頭痛と喉ぐらい?」
「…うん」