内科の医局を訪ねた。
「すみません、藤川先生います?」
「あっ、おーいこっちだ。こっち」
パーテーションの裏から顔を出したので、そちらに向かった。

「珍しいね原田先生が来るなんて。で、診て欲しい患者って?」
キョロキョロしているけど見つかるはずがない。僕一人でここに来ているのだから。

「え?まさか」
「まさかで悪かったね。僕が患者です」
「はぁ?」
「僕だって風邪ぐらいひくよ。だから薬ちょうだい」
「でっかい手術が終わって気でも緩んだか?」

空いていたソファに座り端っこで丸まった。
この座り方をしていると結衣は小動物みたいって笑う。