キミの願い

扉が開くと入ってきたのはゆうちゃんだった。緑のスクラブに着替えているけど全然まだラフな格好だ。

病室のベッドとは違い少し硬い手術台に座った私にゆうちゃんは笑って
「怖くて震えてるんじゃないかと思ったのに。平気そうだね」
「…平気じゃない。今にも泣きそう…」

ゆうちゃんの顔を見たら本当に涙が出てきた。
「あー。ホラホラ泣かないで。大丈夫。僕がいるから」
「…うん」
「結衣、手術中はコレ預かっとくね」
左手の薬指からそっと指輪が外された。
「あっ…」
「大丈夫。次に目が覚めた時にはまたココにあるから」
「うん…」

みんな忙しそうに準備しているのを良いことにゆうちゃんは、本当に一瞬、そっと触れるだけのキスをくれた。

「……!」

余りの不意打ちに驚き声が出ない私にゆうちゃんは余裕そうに笑った。