キミの願い

昔受けた手術なんて物心つく前の事だから記憶になんて無い。
つまりは手術がどんな物なのかって言うのが想像できなくて怖い。
ずっと待っていたはずなのに、いざやって来ると恐怖でしかない。

欠陥品でありながらも25年もの間、頑張って生きてくれた心臓とも今日でお別れ。
取り出された心臓はきっと医療廃棄物とかって名前を変え処分されるのだろう…
そっと胸に手を当てた。
アナタがいたから今の私がいる。
頑張ってくれてありがとう。

「結衣ちゃーん、そろそろ行こうか」
元木さんが迎えに来てくれた。
ベッドから車椅子に乗り換え準備していると、やっとパパが来た。

「え?もう行くのか!?」
なんて驚くパパを横目に元木さんはテキパキ準備し、車椅子は動き出した。

手術室の前でママとパパと元木さんと別れ、今度はオペ室の看護師さんと一緒に向かった。
初めて見る手術室に緊張して、唾を飲んだ。

ドキドキして手に汗が滲んでいるのが分かる。
看護師さんはみんな忙しそうで、ただならぬ雰囲気が漂っていた。
壁に掛かる時計は14:15を指していた。