この日を境に結衣の呼吸状態は悪くなり常に酸素吸入が必要な状態になった。
それでも日中は笑顔を見ることもある。

一番辛いのは結衣なのに周りにいる僕らを安心させようとしている姿に胸が締めつけられる。

あれからすぐ笹くんは無事に心臓外科での研修を終え小児科へと移った。
彼が何科を選択するかは分からないけれど、妻の友達という点では応援してあげたいと思う。

移植の平均待機期間と言われていた2年8ヶ月を過ぎもうすぐ3年が経とうとしている日だった。
たまたま休みだった僕はさっきスーパーで買った苺を結衣に届けようとタッパーに入れ準備していた。
その時、机の上に置いた携帯が着信を知らせた。
画面には病棟の文字が点灯していた。