「なぁ頼むよ。こういうの苦手なんだよ」
「なんで僕が?指導してきたのは中岡先生でしょ」
「一緒に考えてくれよ友達だろ!同期だろ!同僚だろ」

夕方、僕のデスクにまとわりつく中岡が手にしているのは研修医の評価文書。
どんなこと教えましたよー。
とか出来はどうでしたよー。とか。

「文字書くの嫌いだし、考えるのイヤなんだよ」
「そんなの30過ぎた大人が言うセリフじゃない」
「苦手な物はいつまで経っても苦手なの!」
「小学生みたい。はぁ…どれ?見せて」
「さすが!原田先生!!」

「笹先生。採血が苦手で使い物になりませんでした。って正直に書いとくよ」
「原田先生!そこは少し穏やかに、オブラートに包んで下さいよー」

大の大人が2人がかりで一枚のプリントを書くなんて情けない…
あーだこーだと言いながら書いていると中岡のピッチが鳴った。