少し難航した手術は予定時間を超え終了した。
遅くなった昼ごはんの袋を提げ医局へ戻った。

「お疲れ。今終わったのか?」
時計を見ながら中岡が話しかけてきた。
「少しトラブっただけ。問題ない」
「そうか…結衣ちゃんだけどさ」
「うん」

「朝から呼吸が弱いんだ。11時の時点でSpO2は92、点滴開始して14時で93。あまり変化が見られない」
「そうか。分かった」
「うん…」

次の予定はあるけれど、今はそれよりも結衣の側にいたい。
カーテンを開くと結衣は眠っていた。
それでも心配になりそっと首筋に触れた。
規則的に脈を打つ首筋に安堵したけれど起こしちゃ可哀想だからそっとカーテンを閉め出てきた。