「ごめんなさいね。楽しくお話ししてたのに」
「いえいえ、もしかして引き留めちゃったかな?」
心配そうに言うリカに吉岡さんは
「忘れる先生も悪いですよね」
グサリと言い放ち部屋を出て行った。

「なんか忙しそうだね」
「うん。いっつもバタバタしてるよ笹くん。なんか、こき使われてるのが見てて分かる」
「そうなんだ。でも頑張って勉強して、夢叶えたんだ…応援してあげなきゃ」
「うん、そうだね。とりあえず私は困らせないようにしなきゃ」

リカとならいつまでも話せるけれど、結婚してリカも家庭がある。
晩ご飯作らなきゃって帰ってしまった。

愛する旦那様の為に晩ご飯を作る。
そんな些細な事さえできない自分が情けない。
いつかきっともう一度、腕によりをかけて、ゆうちゃんがあっと驚く料理を作ってあげたい。