でも途中でノックの音がして吉岡さんがやって来た。
「吉岡師長!」
驚き笹くんは反射的に席をたった。

「原田先生の予感的中。結衣ちゃん、変わりない?」
「うん、大丈夫」

そう確認するとクルリと吉岡さんは笹くんの方に向き直った。

「笹先生」
「は、はい」
「302の蒔田さんのオーダーが出てませんでしたよ。それから311の小野さんに検査の説明は済んでますか?」
「え?蒔田さん。えー。すみません。小野さんにはこれから行く予定です」

「で、笹先生。今何時ですか?」
「え?今…13:50です」
「312の中村さん、15時から16時に検査が変更になってますよね?当日の検査変更の受付は14時までに検査部に伝えて下さいね」
「14時!?えっ!!ごめん。佐伯、リカ。またな」
「廊下は走らない!」

笹くんは慌てて部屋を出て行った。
その様子をリカは呆気に取られた顔で見ていた。