「原田先生。ちょっといい?」
「ん?」
「これ、今朝メール来たんだけど見て」

そう言って中岡が見せてくれたのは移植協会から送信されたメールだった。
数ヶ月に一度、自分が届け出た患者の移植順位がメールで知らされる。

移植手術が完了したり、訳あって届けを辞退したり、移植前に残念ながら亡くなったり。
理由は様々だ。

部外秘と書かれたメールを移植を待つ患者の家族が知るなんて事は言語道断。
けれど家族であると同時に僕は医者だから。
結衣の順位は3番目だった。
やっとここまで来た。
けれどおそらくまだまだだ。

「一年以内に出来ればいいんだけど」
「うん。そうだな」
ドナー登録をして一年半が経っていた。