その場はそれでやり過ごし、少し医局で仕事をしゼリーを持ってもう一度、結衣の元へと向かった。

微熱な割にぐったりとしている結衣の姿に不安が込み上げてくる。
でも脈も血圧も正常の範囲内で聴診の結果だって問題なかった…

「結衣?」
「ゆうちゃん…」
「ゼリー買って来たよ。一口でいいから食べれる?」
「…欲しくない」

食欲が無いと言っても薬を飲まないとダメだと分かっている結衣は2〜3口は食べてくれるのに、今日はそれさえも無理なのか…食べなきゃダメだと言うことは本人が一番理解しているのに。

「…困らせてゴメンね」
「ううん結衣が気にすることじゃないよ。無理強いだってしたくないしね。当直の先生には僕から言っておくから、今はゆっくり眠った方がいいかな」

「ゆうちゃんは?」
「結衣が眠れたら残りの仕事片付けて帰るよ」
「迷惑ばっかりかけてるね、私…」
「迷惑なんかじゃない。僕がそうしたいの。明日はこっちにいるからね」
「…うん」

話をしながらお腹をリズムよく叩いていると結衣はそのまま眠ってしまった。
朝まで眠れるといいんだけど…