僕の反対側に立っている元木さんから体温計を受け取ると結衣は素直に脇に挟んだ。

「そのまま、じっとしてて」
熱を測っている間に診察を済ました。

「食欲無い以外に何かある？頭痛がするとか、咳がでるとか」
「ううん。ない」
「そうか…これから出てくるかな」
すると体温計がなったので手を差し出した。

「良かった。思ったほど高くない。37.5℃
とりあえず今は熱を下げる薬だけ出しとくから、食べられるだけでいいからご飯食べて薬飲んで早めに休んで」
「…うん。でも本当に食べたくないの」
「全然？」
「うん…」
「先生、どうしますか？」

元木さんが心配そうに尋ねてきた。
「後でゼリーでも買ってきて飲ませとく。オーダーだしとくから薬剤部から上がってきたら置いといてもらっていい？」
「はい、分かりました」