たった一言、それだけ聞こえると、電話は切れた。女性は僕に少しずつ近づいて、そのまま通り過ぎた。 あれがキミだったのか、僕にはもうわからない。 キミの脳内に僕はもう入れなくなっていた。 入れなくなった理由は、一つしかない。 家に帰り、顔を切り刻まれ、泣きじゃくる赤ん坊の脳内に入り込もうと試みた。しかし、やっぱり入り込むことができなかった。 そこで僕はこの子が人間ではないことを悟った。