子供ができたことを男に告げると、男はキミとの連絡を断ち、音信不通になった。


家族からはおろせと迫られ、それでも産むと決めたキミは、バイトをしてアパートを借り、子供を産む知識を身につけ、一人で出産した。


生まれてきたホムンクルスを育てるために、キミは大学進学の道を捨て、就職することもできず、昼はコンビニ、夜はキャバクラで休みなく働いている。これを読んでいるのは、おそらく仕事の休憩中なんだろうね。


読んでいない? いいや、読んでいる。僕がキミの脳内の意識をいじるのは、まだ終わっていないんだよ?


僕は一生、キミの脳内を支配し続ける。意識に語りかけ、キミを操って生きていく、これから定期的に起こる不幸なことは全部、僕の能力によるものだ。


そうだな、次はキミが仕事のために、一人残したホムンクルスが夜泣きして、アパートの住人からの苦情によって追い出される。そういうシナリオを用意しよう。


キミはあてもなくホムンクルスを抱えて彷徨う。そのまま死んでしまえばいいのかもしれないけど、あえてそうはしない。手を差し伸べる人を作ろう。そして、その後その人から裏切られるシナリオを作ろう。


そうやって僕は一生キミを幸せにはしない。これが僕の復讐だからね?






(了)