「じゃあ、そろそろ」と男がベンチから立ち上がった。


「月を迎えたらまたきっとここで」


キミは大きく頷く動作をして答えた。


「うん、きっとまたここで!」


そうして、男が大手を振る動作をした。キミがそれに返事するように大手を振る動作をすると、男の姿は消えた。


そして、キミも消える。消えて、四角い窓が均等に並んだ小さなビルを手に持って、そのうちの一つ、緑の窓を指でタップする。


緑の窓を覗いて、誰も何も発していないことを確認すると、キミはビルの電気を消した。


そして、枕元に置く。キミは部屋の明かりを消して、瞼の裏側を見る。