「うん…。『急に思い詰めてしまって悪かった。これからの事をちゃんと話をしたい。』とか『返事をして欲しい。私と向き合って欲しい。』とか…これからの事…先の話をしてくれている内容だったんだ。俺は申し訳なくて嬉しくて彼女に急いで電話した。そうしたら彼女から冷たい声で『今更何の用だ?もう二度とかけてくるな。こっちは一か月かけて吹っ切ろうとしているのに邪魔をするな』て言われた。手遅れだったんだ。」

私と山田先輩は思わず止めていた息をドッと吐いた。

「俺もさ結婚したし、今は幸せだけど小骨が喉にずっと刺さってるみたいに、ずっと気になるんだよ。タラレバだけどね?多分一生小骨が喉に刺さったみたいにずっと気になるんだろうな…て思うとね。だから樫尾さんはそんな思いはしないで欲しいなと思っただけ。」

人生の先輩、呉川さんの重い想いを受け取って…私は震える手でメッセージを開いた。今は個室のトイレの中でスマホいじってます。

『俺と別れて欲しい。お前と会っていても心が躍るような事が無くなってしまった。』

そうか………ああ、やばいっほんの少し、本当に少ーーーし期待したのに…。

「辛らぁぁぁ…。ぐすっ。」

因みにトイレの個室の周りには消音魔法使ってます―――!ちくしょうーー!

私は震える指で何とか返信を打ち返した。とても生で電話は出来ない。

『そうですか、分かりました。』

あやつはスマホを見ていたのだろうか、文章にすぐ既読の文字が付く。

この野郎ッ!〇獄へ落ちろっ!呪ってやろうかぁぁああん?私はマジで呪詛魔術も使えるんだぞぉぉ!

携帯電話や電子機器は実は魔力や魔法を媒体することが可能だ。

思わず指に魔力を籠めそうになって……何とかギリギリ堪える事が出来た。