嬉しくて楽しくて、きっとこちらでは幸せになれる!

そう馬鹿みたいな思い込みで生きてきた。現実とやらを見ていなかった。周りを見れば浮気をされた、二股をされていた…独身だと思っていたのに既婚者だった…等々。

高校から大学時代にかけての友人達の話しを聞いてもどこか他人事だった。自分は彼女達とは違う。勇樹は変わらず優しいし、私を愛してくれている。

それもとんだ勘違いの思い込みだったけど…。

……チーーーーン。

思いっきり鼻を噛んだ。

「異世界のティッシュペーパーは本当に上質ね。この技術力は持って帰りたいわ。」

ああ…もう帰ること前提で気持ちが切り替わっている。でも帰ったら…死刑かな…。逃げ出してるものね。

随分泣いていたようだ。少し日が傾きかけている。ベッドの上から降りると、冷蔵庫の中の冷えた麦茶をマグカップに注いだ。カップの中の麦茶から瞬時に湯気が上がる。

私は温めた麦茶を飲みながらゆっくりとリビングのソファに座った。

さて…これからどうしようか。私の生活比重は勇樹>仕事とその他…という感じだったので、これからどうしていいのか分からない。

仕事も辞めようか…。異世界に帰るにしても、ここで10年弱を生活して来た。思い入れがあるものばかりだ。少しずつ身辺整理をしていこう。

私、樫尾 莉奈の記憶は最後に纏めてぼやかしてを記憶を改ざんするとして…まずは…。

「部屋を片付けよう!」

そう独り言を言ってクローゼットの中を開けた。