「……ダメ……ダメ……。考えちゃ、ダメ……！！」

エリーはそう言い走るが、さっきのピアノの音がオビとの記憶を思い出させていく。オビとの記憶も音楽で全てあふれていた。

幼い頃、二人はよくお互いの家に遊びに行った。その時に自分たちで歌を作ったりしたのだ。

「いつか結婚して、みんなで合唱したいね」

「うん、約束だよ！」

幼い頃にした結婚の約束。あの時はお互いに幼すぎていた。しかし、エリーもオビも大きくなるにつれて互いに惹かれていった。

十六歳にエリーがなった日に、オビが自分で作曲した曲をピアノで弾いてくれた。切なくも温かなメロディーに、エリーは幸せから涙をこぼしてしまう。

「君をイメージして作ったんだ。エリーのことが愛しくて、たまらない。僕と付き合ってくれませんか？」

エリーはニコリと微笑み、「さっきの曲をもう一度弾いて」とお願いする。オビが弾き始めた刹那、エリーは想いを歌に乗せた。