あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~

「この仕事は運転できないと何もできないだろ。今まで待ってやってただけでもありがたいと思え。次の外回りから俺は免許証もっていかないからな。運転はお前だ。」
先輩の言うことだ。絶対にやる。この人。そういうところ容赦ないって知ってる。

私は仕方なく小さくため息をついてから座席の位置を動かした。
先輩の足の長さに比べたら私の足の長さなんて半分なんじゃないかと思うくらい、座席は最大限まで下げられていた。
比べて私はかなり前。

「両手伸ばしてハンドル握って。位置をあわせないと。」
先輩が私にいろいろと隣から指示を出してくる。
教習を思い出しながら私は運転前の準備を始めた。

「本当にもう何年も運転なんてしてないんです。免許取ってから公道を運転したのも1度か2度くらいで・・・」
「・・・だから?」
「・・・なんでもありません」
私は半ばやけくそ(あまりの無茶ぶりに言葉悪くなる・・・)でルームミラーの位置をあわせた。