あなたの隣～憧れ先輩と営業外回りペアになりました～

「無理です！絶対に無理です！」
私が首を横に振りながら先輩を見ると先輩はさっそと助手席に行ってしまった。
そして助手席から運転席のドアの方に顔を出して
「早くしろ」
という。

私は仕方なく運転席に乗り込んだ。
でももちろん運転する気はなくて運転席のドアは開けたままにする。
「暑いだろ。ドア閉めろ」
先輩の言葉に確かにせっかく冷房が効いていた車内に暑い空気が入るのはもったいないと私はドアを閉めた。

「・・・っ！」
先輩が突然助手席から体を私の前に出してきて、ハンドルの横のエンジンスイッチを押した。
何事かと思って私がグット自分の体を遠ざける。体が触れるか触れないかぎりぎりの距離。
「エンジンかけるところからやらないとな、やっぱり。ちゃんと座席の位置とかミラー、動かせ。」
「無理ですって。」
もう一度先輩を見る。